火山災害について

火山災害とは

火山から噴出する物質は一般的に下記のように分類される。【写真-1】

1)気体状態で噴出するもの(火山ガス、火砕流)
2)液体状態で噴出するもの(溶岩、熱水泉/温泉)
3)固体状態で噴出するもの(火山砕屑物は主に火山灰、火山礫、火山岩塊、軽石など)

火山の噴火の種類

【写真-1】火山の噴火の種類【写真-1】火山の噴火の種類

火山の溶岩の粘性係数が大きい場合、溶岩が流れにくく、火山ドームが形成されることが多い。
そのドームがある大きさに成長すると不安定になり、気体と固体粒子からなる気体の流れである火砕流が発生することがある。高温のマグマの細かい破片が気体と混合して流れ下る現象である。雲仙岳1990年-1995年の噴火で多く発生した火砕流はこのタイプである。
固体の火砕物が濃集した本体部の温度は500℃以上で、噴煙を高く噴き上げながら秒速100m近くの高速度で、周りに高温熱風を伴って突進してくるので、非常に危険な噴火現象であり、大変危険な火山災害である。

火山噴火に伴って火山泥流(Lahar)と呼ばれるものもある。噴出した高温の火砕物が、雪や氷河の融水とあるいは溢れ出た火口湖の水と一体になり、土石流のような流れとなって高速で流下するのが、噴火に伴って生ずる火山泥流である。
その他に、山腹に堆積した火山灰が、噴火後における強雨の流出水と一体となり流動化する2次的な火山泥流もある。

溶岩は、火山噴火時に火口から吹き出たマグマを起源とする流体として流れ出た溶融物質で、それが固まってできたものが岩石である。玄武岩質溶岩は粘性が低く流動性が高いため、溶岩流が火口から10~15km以上流れることも多い。粘性が大きいと、地上に出た溶岩は流出することなくその場に盛り上がって溶岩ドームを形成する。

琉球諸島における火山災害

琉球諸島近辺の海底火山を含めて活火山の分布を【図-1】に示す。
沖縄県ないには2つの活火山があり、それらは硫黄鳥島と西表島北北東海底火山である。

硫黄鳥島火山は安山岩質の2火山が接合した長径(南東-北西)2.7 km、幅1kmの島である。
北西側にある島内最高の硫黄岳は溶岩ドームの形態であり、山頂には直径約500mの火口が存在する。火口壁の数ヶ所には活発な噴気孔がある。
南東側の火山はグスクとよばれ、直径500mの火口をもつタフリングの形態を示す。火口内には扁平な溶岩ドームが存在し、北側火口壁には弱い噴気孔がある。歴史時代の爆発はすべて硫黄岳の火口で発生したが、火山体としてはグスク火山の方が新しい。
構成岩石のSiO2量は52.1~60.2wt.%である。噴火のため全島民が再三離島し、現在無人島となっている。火山名として「沖縄鳥島」という名が用いられたこともある。最近の地震観測により、規模は小さいが地球潮汐に連動した地震活動があることがわかった。

西表島北北東海底火山は1924年10月31日に島の北北東約20kmの沖合で突如海底噴火し、翌日は付近海面一帯に多量の軽石が漂流、その後黒潮の流れで日本各地に漂着。噴出物のSiO2量は77.0wt.%である。

【図-1】琉球諸島周辺における海底火山を含て活火山の位置(基図はGoogle Earthより)【図-1】琉球諸島周辺における海底火山を含て活火山の位置(基図はGoogle Earthより)

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